2015年12月15日火曜日

人間なんてな

人間なんてな
食って寝るだけじゃ
男も女も 老いも若きも
食って寝て 起きたらまた食って
春夏秋冬 晴れても降っても
くりかえし くりかえし
人生そんなもんじゃ
わしゃ とうから知っとった

大臣も社長も坊主も、有頂天の人もどん底にいる人も、そして世界の芸術家も変人も。食っちゃ寝、食っちゃ寝かあ。おぎゃーと生まれたら死ぬまで繰り返し繰り返しの人生かあ。みんなおんなじや。みんなお乳ほしがって泣いた赤子のなれの果てや…



1204 a baby

2015年12月11日金曜日

日本変人列伝一 葛飾北斎

「この千年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」(ライフ/1999年)に日本人で唯一選出されたのが北斎先生。生涯三万点の作品。毎日一点描いても83年かかる。絵一筋、他のことには一切無頓着。家はごみ屋敷、住めなくなったら引っ越し、米屋が請求に来ても「そこの包みの中からもってけ!」。大名家から絵の注文があっても頼み方が気に食わないとほったらかし。火事になって家に火の手が及んでも家財道具(たいしたものはなかっただろうが)も描いた絵もそのまま、絵筆だけを持ちだした。
長生きしたが、「70歳までの絵は駄作。100歳まで生きたらまともな絵も描けるだろうに」と言ったとか。日本が世界に誇りたい変人の代表格。雅号の北斎は「あ」をつけたら「阿呆くさい」からつけた洒落という説もあるがこれはどうだろう。

山鳥の図。う~ん、百まで生きても…



1203 yamadori

2015年12月9日水曜日

ゲテモノ

「お前の絵はゲテモノだ!」そんなことを言われながら自己を貫き通した絵師がいる。
片岡球子。構成の感覚が異常だ。銭湯の脱衣場にでもかかっていそうな俗っぽさがある。富士山をバックに牡丹やひまわりなどの大柄な花を描いた絵などは特にそう。日本人には珍しい美意識(繊細さに欠けるという意味)だ。
西洋でも風変わりな画風で知られるルドンという画家がいるが、モチーフは変わっているが絵自体は至極まっとう。ゲテだろうが何だろうが、どんどん突き詰めていくと純化し、素朴な強さや新たな美が生まれるということだろうか。この一点を貫く強靭な愚直さがないととても無理だが。強烈な我のひと。103歳で没。生命力もすごい。

気分をかえてみたらゲテではなくヘタだった。



1201 a stationmaster

2015年12月4日金曜日

長生き

ピカソ92歳。マティス84歳。モネ86歳。ミロ90歳。シャガール98歳。ミケランジェロ88歳。長寿国ニッポンはもっとすごい。奥村土牛101歳。中川一政98歳。梅原龍三郎98歳。横山大観89歳。葛飾北斎89歳などなど。長生きするには絵をかけといわんばかりの壮観である。

しかし、現世ですでに身を立て名を挙げた絵師ばかりだ。なるほどなあ、と思ってしまう。



1201 a woman


2015年12月3日木曜日

求む芸術家。

探検家シャクルトンが南極隊員を募集したときの広告をもじってみた。

求む芸術家。
至難の道。報酬のアテなし。
極貧。暗黒の長い日々。耐えざる不遇。
生活の保証なし。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。ただし死後。

cf:オリジナルは「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネスト・シャクルトン」

超ハイリスク、ノーリターンの世界。普通、賭けにはならない。しかし。存命中に成功すればウルトラハイリターン(巨万の富)も夢ではない。世界的な名声を後世にまで残すことができる。シャクルトンには大勢の応募があったが、こちらはどうだろう。芸大が潰れたという話も聞かないので、毎年一定の学生は集まっているようだ。卒業後ほとんどは給与生活者になるのだが。



1130 a woman




2015年12月2日水曜日

極道と芸術

世界に名を残すような芸術家は我のかたまりだ。道一筋。他のことにかまけるゆとりはない。地域の役員なども引き受け、ひとの面倒見もよく、仲人の口なども手がけ、近所の婆様と道で出会ったら「おばあちゃん、最近腰の具合どう?」などと愛想よく声をかけ、庭の手入れも行き届き、ゴミ出しのルールもきちんと守り、政治・スポーツ・芸能の話題にも明るく・・・そんな芸術家はいるはずがない。世間様とのおつきあいは犠牲にしないと創作の道は極められない。世間に背を向けるとお金は入らないから、当然極貧。それでいておんなたらし、アル中、性倒錯、粘着気質、博打好きだったりするから、手がつけられない。
何かを得るには何かを捨てねばならない、というが、その道以外の全てを(人生も!)犠牲にする覚悟がないと芸術は微笑んでくれない。芸術は極道芸なのだ。



1127 a woman

2015年12月1日火曜日

ヘンリー・ダーガー(Henry Derger)

1973年アメリカ・シカゴ、みすぼらしい一人の老人が街の貧民施設で死んだ。身寄りはない。寡黙で周囲との交流もなし。掃除夫をしながら長く安アパートで暮らしていた。アパートの大家が老人の荷物を整理中、たくさんのゴミ同然のがらくたに混じって、三百点以上の絵と古いタイプライターで打ち込んだ膨大な量の原稿(15000枚!)を発見する。

絵と原稿はその後「非現実の王国で」というタイトルで発表され注目される。「世界最長の物語」「世界一有名な無名画家」など、ヘンリー・ダーガーは一躍世界の人になる。81年の人生を費やして、黙々と、発表するあてもない作品を書き続けて死んだ。世に問いたい、そんな色気の微塵もない創作。芸術とか作品というよりも、ただ自分のためにだけ刻む。こういう創作もあるのだと。

略したら「ヘンダー」。とびきり変人の一生。



1126 Henry Derger