2016年10月6日木曜日

エイジング

何でもない木の机でも、長く使用しているとあちこちに傷がつき、角も丸くなってすり減り、塗装も剥がれ、ススや手垢がついてまだらになり、見すぼらしい姿になるが、見ようによっては何ともいえない歳月の味わいというものを感じる。アンティークや古物骨董の世界ではわざと使用感や時代を人工的に出している贋物も多いが、本物の年月の味というのはやはり人の手の及ばない長い長い時間の技が必要になる。

咲き始めの花は誰が見ても美しいが、すぐにしおれる。しおれて色あせて、褐色のシミが増えてくると誰も見向きもしなくなるが、そこにもひっそりと美が滲んでいる。陽の光や雨風にさらされ、昆虫たちに食いちぎられて穴があき、もう水を吸い上げるちからも衰えている夏の老い花たち。

古ぼけた歳月の果実。そういうものが周囲にあると妙に空間が落ち着くように感じる。



0929 DAIHATSU2015

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