2016年6月22日水曜日

小林秀雄

一昔前までは、作家が自ら創作したものの評判を目にする機会は滅多になかった。売れ行きで推量することはできても、印象や感想といったナマの反応は、ファンレターの類いや周囲の関係者・業界(評論家・編集者・マスコミなど)の声ぐらいしか届かない。利害がからまない第三者の素の反応というのはなかなか知ることができなかった。
いまはネットがある。自分の名前や作品名に続けて評判・感想などのキーワードで検索したら、たちどころに世間の声が押し寄せてくる。こういう声は毀誉褒貶が偏る傾向があるようで、中間の穏当なご意見よりも、極端な批判か支持が目立つように思う。けなすか褒める、いずれかの極論でないと、誰に頼まれたわけでもない個人が感想を書き込む動機に乏しくなるのだろう。
これはこれでデリケートな作家にはたまらない環境だと思う。神経の細い人だったら、容赦無い批判に接したら寝込むことになりかねない。作家に限らず有名人という人種には「危うきネット場に近寄らず」の方針を堅持している人がいる。逆に言えば「懲り懲り…」なのだろう。



0614 Hideo Kobayashi

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