2016年3月23日水曜日

懐かしい技法

元絵はヤン・ファン・エイク(1441年没)がメタルポイントで描いた肖像画。メタルポイントは12世紀頃から17世紀にかけて採用された古典的絵画技法で、銅や真鍮などを鉛筆の芯のように尖らせた鉄筆を使い、表面加工した画板に描いていく。金属が画板で削られて出来る金属粉が「絵の具」になるのでやり直しがきかないが、硬く尖った先端を使っての微細な表現が可能で、時間の経過によって金属粉が酸化して独特の風合がでてくるのが特徴。
メタルポイントは黒鉛(鉛筆)の登場で廃れたが、ほかの道具では出せない素朴な味わいに魅力を感じる。木炭は硬軟でいうとメタルポイントの対極に位置する画材といえる。元絵は牧師さんのような肖像だったが、作業着を着た仏像のようになってしまった。



0317 for JAN VAN EYCK



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