2016年3月9日水曜日

創作は穴掘りに似ている。みんな、それぞれの穴を掘っている。同じ穴でも、形も深さも、土の硬さもみな違う。自分の器量に応じて、こつこつ掘り進んでいく。孤独な作業だ。こんなことしていて、いったい何になるのか。金塊でも掘り出そうというのか。見渡せば周りの連中もただ黙々と掘っている。阿呆ではないのか。やめたやめた、俺はもっと別の穴を掘ろう。そう言って途中で投げ出すやつもいる。あっちにはもっとよい場所があるという話も聞く。
「おーい、聞こえるか。そっちはどうだ」仲間に声をかける。
「ダメだ。石くればかりだ。水まで出てきやがった」
どの穴も苦労だ。この穴も、ここまで身の丈こえて掘ってきたが、そろそろ抜け出せなくなりそうだ。暗い穴の底から見る小さな空は高くて青い。おや、これは何だ!骨ではないか。先人の骨だ。この穴にはすでに先掘者がいたのか…



0306 for Sargent John Singer

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