2016年4月8日金曜日

朧月夜

美しい曲だ。一番は夕月の下に広がる菜の花畑と遠い山並の春景色を絵画的に描写し、かすかにふく風に春の香りを運ばせた。二番は叙情的に、人間も含むすべての森羅万象を霞の中に包み込んでしまった。伸び伸びと大きく、それでいて繊細。ひたすら美しく、ひたひたと情感に迫ってくるものがある。

里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も
のなくねも かねの音も
さながら霞める おぼろ月夜
高野辰之作詞 朧月夜/二番)

作詞家の高野辰之は長野県出身の国文学者。博士号を取得した論文が「日本歌謡史」で、東京芸大の教授にもなっている。多くの児童唱歌を作詞しており、ほかに「故郷(ふるさと)」「春の小川」「春がきた」「紅葉(もみじ)」などがある。彼が生まれ育った信州の風景がモチーフになったものが多いが、それらはそのまま日本人の原風景でもある。

歌に読み込まれてはいるが、話とは何の関係もない絵になってしまった。



0403 a frog

0 件のコメント:

コメントを投稿