2015年10月15日木曜日

白と黒の世界

木炭画(墨絵、ペン画や鉛筆画なども)はモノクロームの世界。色の濃淡や陰影、質感などは表現できても色彩そのものは出せない。そのため油彩などの下絵として利用されたり、絵の練習のためのデッサンに使われることはあっても、木炭画そのものを最終の作品とするのは意外に少ないそうだ。

木炭画は炭の棒を紙にこすりつけて描く、なんとも素朴というか古風な手法。紙も表面にある程度のざらつきがないと具合が悪い。しかも粉末の定着が悪く、紙を叩いても粉が落ちるし、擦るとすぐに色が飛んでしまう。夢中になっていると手や服でこすってしまい、せっかくの絵が駄目になる。こういう短所を逆に特長として活用して、塗っては消し、重ねては飛ばし、置いては伸ばし、といった作業を繰り返しながら、だんだんと白と黒のあいだにある微妙な階調を出していく。

木炭画で黄色いチューリップは表現できないけど、そのかわりチューリップの別の何かを表現できるはず。通常、人は色のある世界を見ているので、モノクロームの世界はそれだけで異質。10枚のチューリップの絵の中に1枚、モノクロの絵が混じっていたら、たぶんそれだけで目を引くだろう。
昔は写真もテレビも映画も白黒だったが、いまはカラーで超細密が当たり前。だから逆にモノクロが目新しく、それを使ったCMなども出ている。木炭画にも人の目を惹きつけるちからがあるはず。

色の向こうにあるなにかが見えてきたら、きっと絵もうまくなっているだろう。

0723裸婦

0728裸婦

0729安井曾太郎模写

0730肖像1

0730肖像2

0 件のコメント:

コメントを投稿